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秘剣 / Hidden Weapons

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#イラスト #オリジナル #創作 #ファンタジー #戦士 #剣 #爪 #仮面
#illustration #original #originalart #art #fantasy #warrior #sword #claw #mask

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わたしは円形の仮面をつけた。これはいささか偶然である。円い仮面のまわりで、肉体もまるくこしらえるしかなかった。かくてわたしは «デブ» になった。――太陽劇団のある女優の回想。

仮面をつけるという行為は、芝居の役を請け負うことの具体物による喩えとなりうる。演劇だけでなく、人間社会で役割を持つことにも通じる。
人が社会で生きるとは、その社会で何らかの役割を負うことではないか。人間だけでなく、他の動物も。たとえばグループの中でのニワトリは、自分がそのグループで順位x位にいるという立場を自覚していなければならない。なんらかの理由でその自覚をなくしたニワトリは、グループの異物と化す。

仮面をつけること。演劇で役を演じること。社会でポジションを自覚すること。これらの行為は、それを行う者の全的自由を捨てることにつながる。
そうまでして、なぜ演劇を？

#黄金時代 #仮面 #道化と革命

《顔を覆って隠すことはさまざまな意味合いがある。他人からはわからないということのみならず、装着するマスクがかたどっている神・精霊・動物（実在架空を問わず）等そのものに人格が変化する（神格が宿る）とも信じられ、古くから宗教的儀式・儀礼またはそれにおける舞踏、あるいは演劇などにおいて用いられてきた。
そうした仮面舞踏（儀礼）は、紀元前4000年ごろにすでに行われていたという。これは当時に描かれたアフリカのアルジェリア・タッシリ・ナジェールの洞窟壁画（英語版の写真ギャラリーも参照）から推測されている。日本における最古の仮面は縄文時代中期前半（5千年以上前）の土面であるという。現存する国内最古の木製仮面は弥生時代終末（3世紀）の纏向遺跡から出土したものである。》
https://ja.wikipedia.org/wiki/仮面

#仮面

人が仮面をかぶったときに起こること。
ハンス・リヒター『ダダ――芸術と反芸術』からの引用、続き。リヒターのこの記述はフーゴー・バルの『時代からの逃走』に拠っている。

《五分前には思いもよらなかったことだが、わたしたちはめいめいの着想で他人をしのごうとして、意表をつくさまざまのものをぶらさげ、ヒダをつくり、きわめて異様な人物となってうごめいていた。これらの仮面の迫力はわたしたちのあいだに、おどろくほど抗しがたい勢いで伝染した。わたしたちは一瞬に、このような仮面が物真似や演劇にとって、どんな意義をもつのかについて教えられたわけである。仮面はさっそくそれをつけた人に、からだを動かして、悲劇的で不条理な踊りをはじめることを要求した。》

#仮面 #フーゴーバル

《それぞれの俳優は彼が何者であるかを直ちにはっきりとわかるような衣裳と顔塗りで舞台上に現れる。ごまかしの余地はない。》

これもミショー『アジアにおける一野蛮人』からの引用で、中国の演劇についての論。
「顔塗り」とあるが、これに「仮面」を加えて解してもいいだろう。顔塗り＝隈取りは仮面に由来するとも言う。それが事実なら、仮面こそが演劇本来のものであり、太陽劇団がイタリア発祥の仮面劇「コメディア・デラルテ」を援用・流用して活動を開始したことは、演劇の根源にかかわる選択ということになる。
演技とは、役者が自分ではない者として振る舞うこと。ならば、仮面を着けることは、最も直截で容易な演技術ではないか。

#道化と革命 #仮面 #アンリミショー

《ヤンコがかれの仮面をたずさえてきたとき、わたしたちはみんないあわせた。そしてたちまちだれもが、ひとつずつ仮面をかぶっていた。すると奇妙なことがおこったのだ。仮面は即座に衣裳を要求したばかりでなく、一定のきわめて悲愴な、それどころか狂気に近い身振りさえ指定したのである。》――ハンス・リヒター『ダダ――芸術と反芸術』
https://johf.com/memo/037.html#2023.8.22

#仮面

引き続き「自由をわれらに」から。

《何よりもまず仮面は、«自然的なるもの» の «演劇的なるもの» への最初の置きかえである。«自然的なるもの» を演じている俳優からは、実際わたしは顔の上に窮屈な、死せるオブジェをつけた者という印象しかもてなかった。その反対に、この俳優が仮面を生かし、それに意味と律動を与えはじめる、「それに棲みつき」はじめるや否や、そのとき、ひとつの心像（イマージュ）が生まれ、別の顔が立ち現われ、不思議にもひとりの人物が出現してくるのだった。こういった人物を、わたしたちは俳優が選んだ仮面に従ってアルルカン、パンタロン、マタモール、ビゾニョゾオと呼んだ。わたしは彼らが何者であるか知らなかったが、見覚えはあった。》

仮面を付けて演技をはじめると、何かが起こる。そこまでは、抽象的にはわかる。だが、俳優が仮面に「棲み着く」とは？いや、これも感じはわかるな。

#黄金時代 #道化と革命 #仮面

『道化と革命』中のエッセイ「自由をわれらに」（p.103-122）は、『黄金時代』でアブダラを演じたフィリップ・コーベールによるもの。全体の理解の鍵になりそうなので、じっくり読むことにする。

《われわれの時代に関するスペクタクルを、仮面の芝居をつかってつくるとアリアーヌが言ったとき、正直に認めなければならないが、彼女の提案の後半部にはわたしはまったく心惹かれなかった。顔の前に被せられることになる紙や革のあの切れっぱしは他のものよりはるかにわたしを悩ませることになるなと思ったものである。
　実際には作業が進めば進むほど、仮面をつけることが含んでいる諸法則を発見できた場合にそれが体得させる自由と力というものをわたしは実感するようになっていった。》

アリアーヌは太陽劇団の中心人物で演出家のアリアーヌ・ムニュシキン。
https://ja.wikipedia.org/wiki/アリアーヌ・ムヌーシュキン

#黄金時代 #道化と革命 #仮面